人命救助-5/7

夜、

相変わらずボーズ(0=成果なし)で会社に帰ってくると、

事務員さんが、「面会でーーーす!」とわざとらしい大きな声。

 

近くにいた若い同僚は、すでに知っていたのか?

私のまわりでソワソワしていた。

 

と、

見ると、二十歳前後のかわいい女の子が

やや不安そうに佇んでいる。

 

全く身に覚えがない!

 

恐る恐るその娘を面談スペースにお誘いすると、

彼女の口から、

「この前は、ありがとうございました。」と始まった。

 

実は、

その娘が、この前、命を取り留めた本人だったのだ。 

突然、私の中に暖かいものがじわっと込み上げてきた。 

 

話している周りで、

独身の者が意味もなくうろうろしているのを、

払いながら、彼女と話を続けた。

 

「ありがとうございました。

でも、助けてくれなくても良かったような・・・ 」と、

弱弱しい話し方で、ぼそぼそと話す彼女。

 

なんとなく、なんとなくだが、気持ち、言いたい事は、分かるような気がする。誰でも生きていたら、死にたい、死にそう、と思う事は、1回くらいはあると思う。

 

実は、私も死にかけたことがある。