人命救助-6/7
昔、人生の悩み、家族の悩みとくに父との隔壁。そんな思いがグルグルしていた時、交通事故を経験した。幸いに相手はいなかったので、今でいう自爆型事故!?
ICU(集中治療室)で、意識を回復し、
ぼわーんとしか目が見えない。
ミイラのように、全身包帯でぐるぐる巻き。
両腕に点滴とか何かの管がついている。
そして、ピッ、ピッと自分の脈が反応する機械が、すぐ横にある。
本当、映画のワンシーンみたいな状態で目覚めた。
自分の体がどうなっているのかさえも、分からない状態だった。
そして、
少しずつ分かったのは、全身骨折で、生きてたことが不思議という感じの事故だったらしい。
(後日、現場検証してくれた警察官に、めちゃめちゃで、どっちがボンネット側か?分からない私の愛車の写真(泣)を、見せられて、「あんた、生きとったんなー!」と言われたくらいだ。)
両脚骨折と傷多数、おまけに両脚 靱帯断裂。とてもスポーツ界に復帰する事なんて無理。夢のまた夢。歩けるようになれるかどうかも怪しい。これから一生車いすかも?と言う状態だった。
けれど、が、しかし、
持ち前の楽天主義(なんとかなるやろ!と言う気持ち)と、
血反吐を吐くようなリハビリのお陰で、約1年たって現役に戻り、
さささやかだが、復帰後、優勝もした。
今だから、自白する。
全く動かない自分の手、足。
汚い話で申し訳ないが、うんこもベットの上。
という状態の時、絶望して一瞬、
『あの時、死んだ方が、楽だったかも?』って
思った事は何回かある。
でも、
長い苦痛に耐えぬいて、栄光を手にした時は、
「本当に生きてて良かった!!」と思った。
なかなか、そこまでの経験は、できないにしろ、
人間、何らかの苦難を乗り越えた時には、
喜び、幸せを感じる一瞬はきっとある。
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ここで、本編に戻って、
彼女が、「助けてくれなくても良かったような・・・」と言った時。
「そんな事ないよ!生きてたら、きっと良いことがある!」
と、かつての自分の思い出がよみがえり、反射的に言い返した。
そして、
「たとえば、あなたが、いずれ結婚して、子供が生まれ、
あなたは母に、この前来たお母さんは、おばあちゃんになり、
家族でその子を見た時に、“生きてて良かった!!” と、
思える日がきっと来る」と、何故か、場違いな感じで
熱弁してしまった。
そして、それを体験してほしいのだ。
苦しみを乗り越えてこそ、必ずやってくる幸せな一瞬。
これこそ至福の時、生きてる喜びなのだ。=経験者は語る=
事務所の照明がやや落ちていたので、その娘の表情は、
うすぼんやりとしか分からなかったが、
きっと伝わったと思う!